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X線発生装置の選び方

X線発生装置の構成

X線発生装置は主に次の部品で構成されています。

X線管:X線を発生させる心臓部品です。主にガラスやセラミックの真空管となっており、内部にフィラメントとターゲットと呼ばれる部材があります。
高電圧電源部:X線管にX線を発生させるために必要な高電圧(数kV以上)を印加するための電源部です。
制御部:X線の出力を制御するブロックです。
冷却器:X線は発生効率が非常に低く、入力した電力の99%が熱になります。そのため、専用の冷却器を取り付けてX線管などを冷却します。

X線管と高電圧電源部が一体となったX線発生部(X線発生器・モノタンク・X線ジェネレーターなどとも呼ばれることがあります。)もあります。

X線発生装置の仕様

X線発生装置を選ぶ際には主に次のスペックを確認する必要があります。

1.管電圧
X線管に印加する電圧で、発生するX線のエネルギーを決めています。管電圧が高いほど物質の透過力に優れます。
実際に撮影されたい対象物の大きさや素材によって、適切な管電圧を選択します。

2.管電流
X線管に流れる電流で、発生するX線量を決めています。X線量は管電流に比例して多くなります。
管電圧同様に、実際に撮影されたい対象物の大きさや素材によって、適切な管電流を選択します。

3.出力
X線の出力のことで、基本的には管電圧×管電流で計算されます。

4.照射時間
X線を出力できる時間です。管電流と同じく、X線量は照射時間に比例して多くなります。医療用の場合には人体への被ばくを少なくしたり、体動の影響を抑えるため、X線の照射時間を短くします。工業用の場合にはインライン検査を行うため、24時間連続稼働でX線照射を行うものもあります。

5.焦点サイズ
X線管内のターゲット部に電子が集束し、実際にX線が出力するスポットの大きさを焦点サイズと言います。焦点サイズが小さいほど影絵でいう光源が小さくなることと等しいため、半影の無い鮮明なX線画像を得ることができます。ただし、その分ターゲット温度が高温となってしまうため、あまり管電流を多くできないというトレードオフがあります。

6.照射角・照射方向
X線の照射範囲を示しています。照射角が広いほど、X線発生部とサンプルの距離を短くできます。逆に照射角が狭いと、必要な照射範囲を得るためにX線発生部と撮影対象・X線センサの距離をとらないといけないため、その分X線の出力を上げないと、必要なX線画像が得られなくなります。

7.X線漏洩
X線は被ばくの影響があるため、安全に利用する必要があります。X線装置では人が立ち入れる範囲においてのX線漏洩量の上限を設けています。
これを超えないよう、鉛などのX線遮蔽材を用いてX線の漏洩を防いでいます。
よって、X線発生部でなるべくX線が遮蔽されていることが結果的にX線装置全体の軽量化につながります。
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